ウォーキングについてのお話を各方面のスペシャリストに聞きました。

武藤 京子 先生

医師 内科医

水戸中央病院 内科部長・(健診センター百合が丘)健診医局長・啓和会 東関東クリニック 非常勤医
一般社団法人 日本姿勢と歩き方協会 ウォーキングリーダー

内科医の武藤京子先生は、ウォーキングリーダーの資格を持つ「日本姿勢と歩き方協会」の強い味方。元気な中高年でも更に元気アップできるように運動教室を通した指導を行う等、ウォーキング『適度な運動』の普及に全力を上げて取り組んでおられます。さっぱりとした語り口と、優しさ溢れるお人柄に引き付けられます。

ー 内科医として病院に勤務されています。正しい姿勢と歩き方を身につける事は、先生から見てどんな利点があると思われますか?
生活習慣病や高脂血症の患者さんには、「食事療法」と「運動療法」の指導をしていますが、今日は運動療法のお話しになります。
ウォーキングは、「いつでも どこでも 手軽に」始められる運動です。まず運動が億劫という人には、まずは15分ぐらいから始めるようにオススメしています。
ー 先生が診ておられる患者さんの中には運動習慣の自覚のある方もおられませんか? そんな方にはどんな指導をされていますか?
数は少ないですが運動習慣がある方や、そう思われる患者さんには「歩数」だけよりも「消費カロリー」や「姿勢」の話などをするようにしています。
ー それは後で伺う協会の指導の内容に関連しますね。
私は日本姿勢と歩き方協会の門を叩く前は、「歩数」や「歩く時間」ばかりを気にしていたのですが、協会の指導するウォーキングのポイントを一つ一つ意識すると同じ15分でも無意識で歩いている時と全く異なる運動になることがわかりました。
ー 幼少期からあまり外に出ず、大人になってもデスクワークが続くような生活の人が増えていると聞きます。熟年になってから「これではいけない!」と気が付いて歩き始めてももう手遅れでしょうか。
何歳になっても決して遅いという事はありません。(運動器の障害や衰えによって歩行困難になる)ロコモティブシンドローム予防のためにも、しかも筋肉や下肢を動かさない生活は、メタボリックシンドローム等につながり、肥満の増加となります。現代はゲームやスマホの普及によって家から出ない生活になってきている影響かと思われます。何歳からでも気が付いたらすぐに運動を始めてもらうのはもちろんですが、若い頃からしっかり筋肉や下肢を動かしておくという習慣を身に付けてほしいです。
ー ウォーキングを含む運動を治療に取り入れておられる例を教えて下さい。
閉塞性動脈硬化症という手足の血管の動脈硬化が原因でおこる疾患などにも積極的に運動療法が取り入れられています。運動をする事はこの病気の進行や重症化の予防にもなります。
糖尿病の患者さんにも運動指導をしているのですが、普段は実践しておられてもお正月に美味しい物を食べて運動をお休みしていると、血糖値の数値が普段より高くなる人が増えています。

ここからはウォーキングリーダーとしての武藤先生への質問です

ー 現在、日本姿勢と歩き方協会認定のウォーキングリーダーの資格をお持ちですが、ウォーキングリーダーコースの受講・受験を考えられた動機は何ですか?
これまでは、何歩いたか、何分歩いたか、という事ばかり気に掛けていたのですが、ある時、東京で何気なく目に入った日本姿勢と歩き方協会のセミナー案内板の「姿勢と歩き方」という文字がとても気になって家に帰ってホームページで検索したのがきっかけです。つまり、「歩数」や「時間」以上に重要な何かが学べるかもしれないと思ったんです。
ー 協会の事を知る前は、ご自身の姿勢や歩き方についてあまり深く考えないですよね
「正しい姿勢と歩き方」の意識は薄かったですね。ずっと前に私自身が病気をした事がきっかけでヨガを続けていますが、質の高いウォーキングとは無縁でした。
ー ウォーキング リーダ コースを受講・受験されてからご自身にどんな変化がありましたか?
外来の患者さんの診察ではずっと座りっぱなしの生活です。そんな環境でもせめて院内を歩く時はウォーキングリーダー コースや、協会のセミナーで受講した内容を思い出して歩くようにしています。習った事を全て実践して歩くと結構な運動になります。
あと、エレベーターを待っている時は踵を浮かして下肢の筋肉を意識するようになりました。
ー ウォーキングリーダーコースを受講・受験されてから患者さんへのアドバイスに変化はありましたか?
いばらき健康管理センターの運動教室でお話しをさせて頂いています。ウォーキングリーダーになってからは、協会で学んだ効率よく運動効果が期待できる歩き方について、参加者の皆さんにも共有させて頂いています。
市町村でも65歳以上が対象の「さらに元気アップ運動教室」という介護予防事業の中で「生活習慣病における運動の効果」と題したお話しをさせて頂いた時は、協会の講義で何度も聞かされた「内側重心」の下肢筋肉の使い方についてのスライドも追加して入れるようになりました。65歳以上で元気な方は沢山おられます。そんな方が「さらに」生き生きとした老後を過ごせるようにお手伝いができればと思っています。
  • いばらき健康管理センターでの運動教室
  • 介護予防事業「さらに元気アップ運動教室」
ー 先生は、まさにウォーキング“リーダー”の鑑(かがみ)ですね。院内で先生が歩く姿の変化について皆さん気が付いているのでは?
病院の中で医療スタッフの一人が「先生、最近歩く姿がカッコよくなりましたね」と言ってくれました。
ー 第三者からのそのような声は本当に正しい姿勢と歩き方が実践できるという結果の現れですし、嬉しいですね。
ー この記事を読んでウォーキングを始めてみよう!という気持ちになった方に一言お願いします。
とにかく歩く事。まずはズボラをしないでよく動く事が第一歩です。それが出来たら今度は正しい姿勢で歩く事を意識すると効果が期待できますよ。
ー ウォーキングにおける正しい姿勢は何なのか、コツを知るきっかけが必要ですね。それを少しでも多くの皆様にお伝えするために、先生が指導をされている事はとても大きな社会貢献だと思います。今日は貴重なお時間を頂いて本当に有難うございました。
こちらも楽しい時間が過ごせました。有難うございました。

近藤 高代さん

陸上競技コーチ 元棒高跳選手

元日本記録保持者
2004年アテネオリンピック日本代表

オリンピック発祥の地 ギリシャで開催された2004年アテネオリンピックに出場した女子棒高跳のパイオニア、元日本記録保持者の近藤 高代さんの登場です。

世界陸上にオリンピック、世界を舞台に活躍したアスリートが日本姿勢と歩き方協会の指導内容と、陸上競技選手の練習や指導との共通点を見い出しながら「フォーム」をキーワードに話して下さりました。

ー ご専門の「棒高跳」は、どんな競技ですか?
ポールを持って助走し専用のボックスにポールを突っ込んでしならせ、その反発に体を乗せて上に高く跳ぶ競技です。
ー 専用のボックスですか??
そう、棒高跳の踏切にはボックスを利用します。ボックスは助走路と同じ高さのところにに埋めてあります。深さは20センチぐらいです(※)。

(※)詳細は公益財団法人日本陸上競技連盟 『陸上競技ルールブック2012』より
日本陸上競技連盟競技規則 第4部 フィールド競技 http://www.jaaf.or.jp/athlete/rule/ 参照

ー 世界陸上やオリンピックのテレビ放映で近藤さんの活躍を拝見していましたが、人が、しかも女性が4m以上も跳べるなんて普通に生活していると想像がつきません。
大体ビルの二階ぐらいの高さになります。棒があれば私は窓の開いた2階に入れますよ(笑)
ー 陸上選手は各自の専門分野の練習の前に「走(そう)の基本」と呼ばれる練習をされるそうですね。一般に聞きなれない言葉ですが「走の基本」って何ですか?
速く走るための基本動作です。どんな場合でも練習の最初に必ずやります。練習で走の基本をしない日はありません。
ー 放課後になると陸上部員が並んでやっていた「腕振り」や「スキップ」がそれですね。
近藤さんのご専門の棒高跳をはじめ走り幅跳や走り高跳などフィールド競技の選手も「走り方」の基本練習を毎日繰り返されるのですか?
棒高跳は跳躍競技に分類されますが、跳躍選手はスピードがないと高く跳べないので、速く走る事は非常に重要です。だから走の基本は必ず行います。
ー 棒高跳の助走のフォームの代表的なポイントは何ですか?
例えば、日本姿勢と歩き方協会では、歩行の際に踵(かかと)着地を意識するよう指導しているのですが。
私たちの競技は跳躍の際にポールに力を入れるので、腕を振って走らない事が大きな特徴です。
他に、足の裏で地面を押す感覚も非常に大切なポイントです。
今日は正しい姿勢と歩き方との関連で取材して頂いていますが、実は私が長く教わったコーチもファッションモデルさんの歩き方を徹底的に調べてきて、選手の指導に応用しています。
ー それは興味深い!モデル歩きのどのポイントが応用されているのですか?
歩く時に、踵(かかと)の中心から親指と人差し指の間に抜けていくような足裏のローリングです。コーチから教わったこの足裏の使い方を、現在は私が高校生選手に伝えています。
ー それは私共の協会で基本フォームとして教えている事と同じです!
また、普段より半足手前に脚を置く歩きや走りを意識するように という指導も受けました。
寝ている時以外、つまり起きている時はずっとこの事を意識しているようにと…。これは体の近くに足を置いておく為なんですが、スピードがついて記録につながりました。
ー そのぐらいフォームに対する意識を高く持っていないと身に付かないという事ですね。陸上競技の技能を向上させるために基本のフォームを繰り返し練習し続ける事は、協会で学んで頂く正しい姿勢と歩き方の基本フォームと非常に似ている気がします。歩き方においてもフォームは大切だと感じられますか?
強くそう思います。練習以外でも日常生活の中で体の使い方について意識すべき事は、先にも申し上げたとおり寝ている時以外は常に意識してきました。今は教える側の立場、高校の選手たちはすぐに忘れてしまうので(笑)、意識的にやるように指導しています。
ー 「歩く」というごく当たり前の日常の動作について改めて学ぶ事の必要性を感じていない方がまだ多いようですが、そのような方に近藤さんからメッセージをお願いします。
真剣に歩くとしんどいです。それは、正しい姿勢で歩けば脚だけでなく腹筋や背筋も使っているからです。歩きながらそういった筋肉を鍛える事で、高齢になって整形外科や整骨院通いの日々にならないよう、病気予防や健康維持・改善のために正しい姿勢と歩き方を学んでおくのはとても大切ですね。それに何と言ってもキレイな姿勢で歩くと、お腹やお尻の周りの筋肉が鍛えられてプロポーションが良くなりますからね。私も現役引退後はとても気を付けているんですよ。
ー それで近藤さんは現役を引退された今でも、アスリートのオーラ溢れる颯爽とした立ち姿なのですね。今日はお忙しいところ練習の合間にお話を聴かせて頂いて有難うございました。

どんな道に進んでも大切です

小島 久枝さん

コンシェルジュ・元国際線客室乗務員

ホテル日航金沢
チーフコンシェルジュ

憧れの職業…ホテルのコンシェルジュ、航空会社の客室乗務員(以下「CA」と表記)。この両方を経験され、現在はホテル日航金沢でチーフコンシェルジュとして勤務されている小島 久枝さんに、接客業のお立場から見た正しい姿勢と歩き方、美しい身のこなしについてお話を伺いました。一挙手一投足が本当にエレガントでスマート、それでいて柔らかい物腰。ホスピタリティ溢れる笑顔の素敵な女性です。

ー コンシェルジュはどんなお仕事をされているのですか?
ホテル内の「よろず相談」の係です(^^♪
お食事・観光・飛行機や電車など交通のご相談・御手配、時には人探しまでお手伝いする事もあります。
ー えーっ、人探しまでして下さるんですか?
法的・道徳的に問題がない限り、お客様のご要望に全力を尽くしてお応えする事を心がけています。
ー 普段、業務の中で正しい姿勢は意識されていますか?
私共は、メールなどパソコンを使ったデスクワークをコンシェルジュデスクで行います。資料作りなどのデスクワークでも、常にお客様から見られている事を意識して座っています。
ー 後輩コンシェルジュや新人の方に、美しい姿勢や歩き方を指導される事はありますか?
接遇の全般的な研修をする機会があり、「姿勢と歩き方」について多少時間を費やします。最近、日本姿勢と歩き方協会で教えておられる内容を知り、とても良い内容で共感しています。
ー 小島さんは80年代の半ばに航空会社に入社されたそうですね。難関を突破してCAになられたわけですが、現在CAを目指して就職活動中の方が正しい姿勢や歩き方を学んでおかれる事は大切だと思われますか?
姿勢や歩き方について特別勉強したという経験はありませんが、CAだけではなくどんな道に進んでも、正しい姿勢や歩き方を学んでおくことは非常に良い事だと思います。
ー CAを養成される訓練部で、航空会社ならではの歩き方の指導の特徴はありましたか?
姿勢や歩き方の指導をして下さった教官の事はとてもよく覚えています。特に階段の歩き方の訓練が印象的でした。
ー かつて堀ちえみさん主演の「スチュワーデス物語」で出てきたシーンですね。
まさにその時代に入社したんですよ。訓練中はゴミの拾い方なんかも教わりました。狭い機内の通路でしゃがむ姿勢は間近でお客様に見られていますからね。お客様の目の前でゴミを拾う、というのはホテルでも同じです。
ー お仕事柄、体力維持や美しい身のこなしの為に御自身で何か習慣にしておられる事はありますか?
普段忙しくてなかなかまとまった時間が取れないため、ホテルのバックヤードでエレベータを待っている間なんかに少しストレッチをしたり時間を有効に使うようにしています。最近は週に数回、仕事の後や休みの日に筋トレも始めました。
ー 日本姿勢と歩き方協会には、小島さんのような接客業を志望する方や、既に就労中の方も集まって来られます。これから正しい姿勢と歩き方を学ぼうとするそのような皆さんに、大ベテランの先輩からメッセージをお願いします。
業種に関係なく、健康増進・維持のために正しい姿勢と歩き方を学ぶ事はとても大切な事だと思います。制服を着用しない方でも「正しい姿勢を心がけよう」という気持ちを持つ事で、制服を着ているかのように自らを引締める事が出来るのではないでしょうか。
ー 今日はお忙しいところお時間を頂きまして有難うございました。
こちらこそ金沢までお越し頂いて有難うございました。日本姿勢と歩き方協会の教室を金沢でも開いて頂きたいです。
ー 前向きに検討します!

最も手軽!

里村 一成先生

医師 健康政策

京都大学医学部
社会健康医学系 健康政策・国際保健学 准教授

京都大学で健康政策や保健学を専攻する里村一成准教授は、市町村でウォーキングなどにスポットを当てて、身体も心も社会的にも健康な高齢者づくりを目指したフォーラムにパネリストとして招待されたり講演したりと、健康面から政策に関わるエキスパート。

そんな立場から見るウォーキングとは・・・

ー ウォーキングと高齢者保健は関連がありますか?
大きく関係します。私は専攻柄、地域保健にも関わっていますが今、多くの自治体で健康な町づくりのために「ウォーキング」を取り上げていますね。ウォーキングが政策になっているのですね。例えばストックウォーキングというストックを使用した歩き方の講習会もありますし、高齢者向けには「歩きやすい歩き方」を教えるものもあります。
ー 他の運動ではなく、ウォーキングなのですね。
ウォーキングは一番身近で手軽な運動でしょう。健康な人もそうでない人も、各人に応じた正しい歩き方をするのとしないのとでは同じ距離を歩くにも運動効果は異なりますからね。
ー あまり歩かなかった事が原因で高齢になって健康でなくなるケースは考えられますか?
2パターンあります。一つは若い時に何らかの悪い癖のある歩き方をしたり、履物の影響、体重コントロールが上手くできなかったといった原因が考えられます
ー ウォーキング技能検定対策講座では正しい靴の履き方から教えます。一人一人の癖も講座の中で具体的に指摘します。
もう一つは生活不活発病です。聞いたことがありますか?
ー 「生活不活発病・・・」、最近耳にしますがどんな病気ですか?
災害などがきっかけで外出が減り座りっぱなしになるなど生活が不活発になって、全身の機能が低下する病気です。
ー 健康状態が許せば「歩く」という行為だけで予防できそうですね。もし多くの人が正しい姿勢と歩き方でウォーキングを楽しめたら日本人の健康、高齢者保健は変わりますか?
もちろん変わりますね。最も手軽で健康な方なら誰でも楽しめるウォーキング、姿勢が悪いと膝や腰に負担がかかりますから、年老いても負担がかからない歩き方を習得して、高齢になっても実践できるのはとても意義のあることですね。協会のウォーキング技能検定からウォーキングの輪を広げて頂いて、私の立場からは高齢者や健康でない人にもできるウォーキングまで発展させて頂きたいですね。

爪の病気が予防できます

林 寛子(ともこ) 先生

医師 形成外科・美容外科

烏丸姉小路クリニック 院長

ウォーキングに非常に興味をお持ち下さっているとっても素敵な形成・美容外科医、林 寛子先生にウォーキングに関連して陥入爪(かんにゅうそう)という疾患についてお話を伺いました。

まさに「美人女医」の寛子先生は普段から正しい姿勢を維持するため、御自身が院内で着用される靴にもコダワリを持っておられます。インタビューに伺った日も、正しい姿勢・お腹の引き締め・筋力バランスについて立ったり歩いたりしながら語って下さるほど。美意識の高い先生です。

ー 正しくない歩き方が原因で来院された患者さんに見られる症状はありますか?
陥入爪(かんにゅう)が挙げられます。
ー それはどんな疾患ですか?
爪の側縁が皮膚にくい込んで痛みや炎症を引き起こしている状態のことです。
ー どんな治療をされるんですか?
フェノール法という手術を行います。この治療で二度と陥入爪にならないようにします。巻いている爪の縁を爪の根元の骨膜部分から切除します。その後、爪の根元の骨膜をフェノールというお薬で処理します。そうすると巻いている部分の爪が生えて来ないので、再発しないのです。
ー 陥入爪の原因になる歩き方はありますか?
つっかけ履きは爪の側面が圧迫されるので、爪の皮膚へのくい込みの原因になりますね。あと親指に重心を置きすぎないで、土踏まずに重心を置く歩き方のほうが悪化しにくいです。
ー この病気の患者さんに見られる特徴は?
爪の切り方の問題等ありますが、ウォーキングに関連して言えばO脚の人よりX脚の人が多いですね。外反母趾の人にも見られます。そのセルフチェックの方法を「日本姿勢と歩き方協会」が指導して下されば良いのですが…。
ー お任せ下さい!カラダのゆがみのチェックの方法は必ず紹介するようにしています。靴底の減り方のチェックも指導内容の一つです。先生御自身もウォーキングに興味をお持ちだとか。
運動効果をアップさせる靴に出会ってから、ウォーキングにはとても関心を持っています。私の姿勢、真っ直ぐでしょ、お腹も引き締まるし、筋トレにもなっているんですよ(と、立って見せて下さる先生でした)。
ー これからウォーキングを始めてみようと思う皆さんにメッセージをお願いします。
正しい姿勢をとることは関節炎や肩凝りの予防になります。ウォーキングを無理なく続けて元気に歳を重ねましょう!

足・膝を捻って歩かないっ!

渡會 公治 先生

医師 健康・スポーツ科学、スポーツ整形外科

帝京平成大学
健康メディカル学部 理学療法学科 教授

整形外科医、身体運動科学の研究者、体育教師・・・「上手な体の使い方」に関するスペシャリスト、渡會 公治教授にお話を伺いました。東京大学でスポーツ整形外科の分野で長年御活躍されてきた先生の診療、研究、指導の対象はスポーツ選手だけではなく、一般の方から年配の足腰の弱い患者さんまで様々。渡會先生は多くの人に「美しく立つ」こと、「美しく動く」ことのメカニズムを知ってもらい、からだの上手な使い方を学んでもらうため 一般社団法人 美立健康協会 を設立されました。そんな熱意溢れる渡會先生に伺った、「ウォーキング技能検定」に挑戦しようと考えておられる皆さんに知って頂きたい事とは・・・

ー これまでの臨床の御経験の中で、正しくない歩き方が原因で受診される患者さんに多い病気や怪我は??
腰痛、膝痛の多くが該当します。
ー そこまで歩き方が影響しているなんて・・・!!せめて気がついた読者の皆さんには今から気を付けて頂きたいですね。正しくない歩き方による腰痛や膝痛、一体どんな歩き方が原因なのでしょうか?
足を捻じったり、膝を捻じったりする歩き方が原因です。「過回内(かかいない)症候群」といいます。
ー その過回内症候群の治療に苦慮された経験はありますか?
今は治療自体には困っていないんです。でも、この病気についてなかなか分かろうとしない方に理解してもらう事には苦慮してきました。
ー 折角先生が教えて下さっているのに分かろうとしないなんて…。きっと当人はなかなか気が付かないものなのでしょうね。正しくない歩き方を改善させるためにどのような指導をされていますか?
匍匐(ほふく)前進、壁体操コーナースクワット、レッグランジ、三歩目大股歩きなどです。
ー どれもハードそうに聞こえます。正しくない歩き方が原因で過回内症候群になってしまうと、こういった運動で改善していかないと治すことは難しいということですね。最後に、過回内症候群のような疾患の治療過程・あるいは予防において、医療機関が「日本姿勢と歩き方協会」のようなウォーキングの指導・普及を行う組織と連携する事は可能ですか?
「ウォーキング技能検定」対策講座で上手に教えてくれれば、助かります(^_^)
ー もちろん、協会のプロ指導者が責任を持って指導します。そして次の世代に伝える人を育成し、渡會先生が目指しておられる「国民医療費の低減」にも貢献していきたいですね。
応援します。